POLYPHONIC CITY



元気ロケッツやMAKAI、cargoなどの楽曲提供やプログラミングを手掛ける等、トラックメーカーとしての活動から、2007年自身のレーベルvoovRecsからデビューアルバム『FLYING-GO-ROUND』をリリース。2008年には2ndアルバム『 POLYPHONIC CITY 』2009年11月には初のリミックス・アルバム『 A-bee Remixes- FACE 』をリリースするなど、確実にJクラブミュージックシーンに浸透してきたA-bee(アービー)が、2年ぶりに待望のオリジナル3rdアルバム 『CURRENTRIA』をリリースします。

今までのA-beeの遊び心満載な斬新でトリッキーな音世界は健在のまま、本作ではさらに神秘的で清々しい空間が広がる。
どこまでも緻密で繊細な電子音の中にメランコリックで幻想的に浮遊するメロディが印象的。もはやハウスやエレクトロの枠には収まらないほどのプログレッシブで色彩豊かなアートな作品に仕上がったこの作品は、クラブミュージックシーンの新たな形を啓示するのは間違いないでしょう。






『CURRENTRIA 』インタビュー

アルバム『CURRENTRIA』のリリースおめでとうございます。現在の心境はいかがですか?

ありがとうございます。やっとリリースできてほっとしてます。本当は今年春にはリリースするつもりで動いてたのですが相当長引いてしまいました。実は夏前には、ほとんど音は完成してたのですが、レーベルや事務的な絡みでいろんな事が重なってリリースが長引いてしまってて、そのおかげで何度もこのアルバムを見つめ直す事が出来て逆に良かった。トラックダウンも何度もやり直したり、新曲も付け足したり、アレンジ面もどんどん変えていきましたね。

本作は4つ打ちのダンスものからメロディアスなものやエレクトロニカ的な要素も入っていて新たな音楽性を打ち出した楽曲が揃っていますが、サウンド面で特に追求してみたかった事はなんですか?

今までの作品はエレクトロポップを全面に出して、基本アゲアゲのイメージが強かったと思うのですけど、今回は実はそこだけじゃないって所を出したかったですね。僕は今までクラブミュージックだけを聞いて育ってきたわけではないから、ロックやニューウェイブ、エレクトロニカやアンビエントとか、色んな音楽を吸収してきたし、それってすごい強みだと思うんですよ。あまりジャンルに特化しないアルバムにしようと考えてました。今回は3枚目ってのもあるし結構悩みましたね。今までと全く同じ考えでそのまま同じような作品を作っても、分かりやすい答えのアルバムになって、もう分かったよって思われてもやだし。音楽的に成長したって感じれるような作品にしたかった。最終的にはブームに流されないような息の長いアルバムになればなと。

本作の作品のテーマのようなものは、あったのでしょうか?

テーマってほどでもないですけど、世界観みたいなものはなんとなくあって、そこがブレないように意識したかな。
神秘的だったり幻想的だったり、かなり抽象的なイメージですが広がりとか空間みたいなのは大事にしてました。今時のバッキバキのエレクトロハウスみたいな新曲もあったのですが、今回のアルバムのイメージには、ちょっと違うと思って外したりしました。

なるほど、いわゆるクラブミュージックではない、ゆったり目の曲も多いですね。

フロアー向けのBPMの曲も2ndまでで結構出してきたし、実際あんだけ歌が入ってると実はクラブでかけるには意外に向かないし、次のアルバムはフロアーだとかクラブミュージックにこだわらない方がいいって感じてて、今回はバラード調だったりエレクトロニカやアンビエントまでとはいかないけど、SEや雰囲気ものも多いですね。4つ打ちの曲ばかりなのも芸がないかなと。

曲作りではどんな物事からインスピレーションを得る事が多かったですか?

ちょっとキザっぽいんですけど、僕、田舎の風景とかすごい好きで。海とか山とか空とか、広大な自然を見ては一人で感動したりする時があるんですけど、そういった感覚になれる音楽やそういう時に聴きたくなるような音楽が作りたいってよく思ってます。ドライブとかに聴いたりね。きっとサントラを作る感覚なのかな? いつも意識してることなんだけど、ただ口ずさめるだけの歌よりも、僕はメロディー以外のアレンジもふくめて、全体の音の響きで何かを感覚的に感じられるような曲になればと思ってます。右脳にガンガン来るような(笑)。歌詞の言葉だけじゃなくて音で人間の気持ちみたいなものをいい形で表現できた時が一番完成後の満足感が高いです。よくプログラミングの事を評価してくれる人が多いんだけど、大事なのは、そこよりも音楽の本質の深い所なのではないかと思います。打ち込みは頑張れば誰でも出来るようになるだろうし、いい機材を揃えればいい音質にもなりますしね。

楽曲制作はすべて自宅スタジオで完結させてるの?

はい。トラックダウンまで全部やってます。僕のやり方は曲を作りながらトラックダウンしてる感覚で進めてます。あとあとトラックダウンを想定して未完成のまま進めるとイライラしてきちゃって(笑)その曲に酔いしれて入り込みながら作っていかないと気分が乗らないですよ。一人で最後まで作ってるから出来る特権なんでしょうけど。

エンジニアをつけずに自身でやってるそうですが

そうですね。それもありなんだろうけど、自分の作品なんだしそこはこだわろうかなと。エンジニアさんつけると自分には無い引き出しが増えるし音も良くなるかもしれないし、いい面もあるのですが僕はそういうプロのエンジニアさんがやらないような反則技を沢山やってて、、たぶん誰かと一緒にやったら怒られます(笑)

たとえば?

あり得ないぐらいコンプで歪ましたりEQも絶対間違った使い方してると思う。それでも面白い感じになればいいかなと、歌のエディットなんて、ありえないぐらい乱暴にやっちゃってますよ。でも自分の作品ではプロが出来ない事をやろうと思ってて、それが個性にもなったりするだろうし、多少音が悪くなっても自分のイメージに近づければそれでいいと思います。僕は今まで小さい頃にピアノを習った事以外は全部独学で音楽をやってきたんで、楽典もあんま知らないし。きっと間違ったルールみたいのが沢山ある気がしますね。

今作のヴォーカルエディットで苦労した事はありますか

今までの作品みたいに歌にオートチューンをガンガンかけることはやめたんで、結構大変だったかも。この手のジャンルは特にロボットボイスが溢れてかえっちゃてて逆に個性がないし、それこそさっき言ってた流行のモノだから、いつまでもやってたら絶対後悔すると思う。きっと5年後ぐらいにこんなのいっぱいいたねーなんて言われたりするんじゃないかな。電子音楽とオートチューンの相性は今聞いてもいいとは思いますけどね。オートチューンをかけない代わりに今は切り貼りとピッチ補正でトリッキーになるようにエディットしまくってます。声の生っぽさをいかして電子音に馴染ませるやり方ですかね。

いつも楽曲制作は、どのような方法で行うんですか?

曲によりますが、歌ものはギターで弾き語りからメロディーを考えてワンフレーズでも浮かんだらすぐにPCでアレンジに入ります。それでメロディー、アレンジ、トラックダウンを同時に進めていく感じですかね。普通の人は最初にメロディーを全部決めてからアレンジに入る事が多いと思うのですが。僕の場合、そのやり方でいくと結局完成するころには全然メロディーも変わってたりするし、あんまいい感じにならなかったりボツになることが事が多いので。あんまポピュラーソングの作り方はしてないですね。

『jumping』とかエレキギターやアコースティックギターの切り貼りがすごいんだけどサンプリング素材は結構使ってるの?

アコGやエレキギターは全部自分で弾いてます。この曲はベースになるリズムが完成したらそれに合わせてアドリブで何度もギターを弾いていいとこだけ切り貼りしてエディットしていきました。PCとセッションする感じでなかなか楽しかったですよ。Aメロはギター以外も細かく刻んですべて点になるようなイメージなんで、音も出来るだけ重ならないようにスカスカにしてタイトにしました。歌も細かく歌ってって注文しました。マイケルジャクソンみたいに歯切れよくって(笑)なかなか面白い曲になりましたね。サンプリングを結構使った曲は『ELECTRONIC ORCHESTRA』で、昔のクラッシックの「パリの喜び」っだったけかな。運動会とかのBGMでよくかかってた曲なんだけど、オーケストラのストリングスのフレーズをたくさん貼付けて遊びまくりました。

『ELECTRONIC ORCHESTRA』のナレーションが印象的でしたけど

この曲は作ってる時に日本語の語りがどうしても欲しいって思ってて、パソコンで日本語を喋らす機能があったんでパソコンにナレーションしてもらいました。ホームページに文章が載ってるのですが前にリリースしたリミックスアルバムの『A-bee remixes  -FACE-』のレビューをそのままパソコンで打ち込んでやったのですけど、人間味のない語りがイメージにぴったりで面白い感じになりましたね。

なるほど。先行配信の『CHAOSmix-EP』はどのようにして誕生した曲ですか?

あの曲はテクノの無機質な質感なんだけど、熱い感情みたいのがしっかり出せるような曲にしたかったです。サウンドはテクノなんだけど曲はロックみたいな。曲の中に緊張感みたいのも出せればって意識しましたね。テクノのスカスカな所と轟音の所が上手く出てて気にってたので先行で配信しました。

ヴォーカルメロディが浮遊感ありますね。

声は基本ウィスパー系でフワフワしてるのが好きですね。サウンドは激しくてビートがガツガツしてても、その上で声がゆっくりみたいなのが好きです。だから歌録りは、いつもやさしく歌ってって注文してます。

A-beeさん的に新鮮だった曲は他にありますか?

新鮮なのは『AM』とか『Flooded』かな。『AM』は、生っぽくしたかったからシンセの音はひとつもないし、ちょっとだけジャズの雰囲気を入れたかった。この曲は一番最後に作った曲で、どうしてもこのアルバムを通して聞いた時にあの場所にこういう曲調を入れたくて急遽作ったんです。インストなんですけど、このアルバムに絶対必要不可欠な曲ですね。『Flooded』は、僕の好きな世界観が上手く出せました。神秘的で広がりがあって聴いてるとどんどん世界に入り込める感じになればなと。ドラムのリズムもブレイクビーツなのかな。細かく刻んだりして今までの僕の曲にはない感じで新鮮でした。

『Flooded』のヴォーカルはA-beeさんなんですね

そうです。なぜかアルバムに一曲歌うのが恒例になってます。サービスで(笑)合唱風にしたかったので声重ねまくってます。

本作のアルバムタイトル『CURRENTRIA』は、どういった意味が込められているのですか?

これ造語で、色々好きな言葉を探してて『CURRENT』と『Euphoria』をミックスしました。ちょっと強引なんですけどね。響きが好きだったのと、意味合いもアルバムのイメージにぴったりと思いまして。『CURRENT』は空気や水などの流れみたいな意味で『Euphoria』はイタリア語で幸福感みたいな意味です。

なるほど。では『CURRENTRIA』を作り終えてどんな感想を持ちましたか?

とても満足してます。自分の中ではアルバムのバランスがホントよく出来てて『Skyfish』や『FLAMES』『O.K.』みたいに聞きやすくていい歌って感じれる曲と『jumping』や『Snake Luv Music』や『ELECTRONIC ORCHESTRA』『AM』みたいに遊び心と雰囲気のある曲がいい感じで合わさってる。そしてラストは『CHAOSmix』のようなカッコイイ曲で終わるみたいな。アルバム通して聴くとなかなかバラエティにとんでるし、ストーリーっぽくなってます。決してもろ売れ線のアルバムではないかもしれませんが、アルバムの内容的には、今までの作品の中で完成度が一番高いと思います。いわゆるメジャーによくあるヒット狙って全曲シングル大集合アルバムには絶対したくないし、最初から最後まで同じ曲調のアルバムなんて全然面白くない。せっかく自分の作品なんだし、どこにもこびる事もないし、ホントに自分でいいと感じれるような作品が出来てよかったと思ってます。もちろん一人でも多くの人に聴いてもらいたいのは当然あるし思いは強いのですが、結局は自分の為に作ってるみたいな(笑)

最後に今後の活動目標について教えて下さい。

今後はDJ活動は活発にやっていきたいですね。DJはホント奥深いからやってて楽しいしライブと一緒でダイレクトにその時の気持ちをぶつけられる、いいDJをやればすぐに評価もくるし、ダメな時はやっぱり反応悪いし、一発勝負で音楽を表現できてその場で人の気持ちが直で感じられるから分かりやすいですよね。本当に音楽やってて良かったってダイレクトに感じられる場所なんでこれからも大事にしていきたいです。あとは、今回アルバム出すのにこんだけ時間もかかってしまったし、これからは新曲ガンガン作って配信でもいいから沢山リリースしていこうかなとも思っています。どんどん作品を出して動いてる感をだしていった方がファンの人達も嬉しいし、自分にとってもいいと思う。音楽性もどんどん成長出来るように、色んな事を吸収していきたいですね。